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考 察 |
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われわれは、医師法にある「疾患に悩む患者に対し、最良の医療を施す」という基本理念を背景に、本疾患は保険診療の対象外であるが、自由診療という医師の責任と裁量のもとに行うにはなんら制約されることはないことが判明した。そこで独自に開発した薬剤、勃起を促す目的で末梢血管作動薬のフェントラミン、塩酸パパベリン、硫酸アトロピン、ミルリノンを配合し・液と、また、勃起維持の目的でプロスタグランディンE1を・液とし、年齢や勃起障害の程度にあわせ・液と・液の配合量を調整できるようにマトリックス表を作成して使用することとした。これにより用量を通常量の1/20〜1/40と極力抑えることが可能となり、注射法による持続勃起や局所の繊維化などの問題点を回避でき全身的影響も少ないことが確かめられた。しかも本法による勃起は有効症例においてほとんど生理的勃起に近い完全勃起が得られることであった。 さらに、荒木ら14)は陰茎海綿体へこれら薬剤を患者に注射後、パートナーの待機するホテルへ直行させる方法を試みているが、医師が注射する方法では患者の心理的負担が高いことを考慮し、自ら行えるような方法がよいと考えた。そこで陰茎への直接注射に関しては患者自らの注射に対する恐怖感があり、それを回避するために、注射針を見せることなく刺入できるようなオートインジェクター(ポケットジェクター)を考案し用いることとした。 しかしながら自己注射の場合、医学的適応の他に患者の性格、理解度、治療態度などのインテリジェンスも十分に配慮し、薬剤や注射器の管理など自ら責任ある行動が行えるよう指導できるようなシステムを構築しなければ、思わぬ医療事故に結びつく可能性が考えられるので、われわれスタッフも徹底できるよう重点をおいた。 初診時に小谷15)が提唱するごとくに、陰茎の解剖、勃起の仕組み、バイアグラなどの種々の治療法、注射法の原理、注射の方法、副作用などについて患者に十分説明をしインフォームドコンセントを得るようにした。また、治療に先立ち患者の性歴や性に対する態度などを把握し触診などで勃起の程度を観察し、患者の認識を新たにしたところでオフィステストとして、実際の処方時の約2/3の量で陰茎海綿体に注射を行い患者とともに反応をみることとした。 今回の対象症例では、初診時に全く勃起しないのとわずかに勃起らしき現象に至るものが36.7%で、不完全勃起36.7%、持続不能な勃起が18.4%であり、しかも性交可能な症例でも半数以上が早期射精を訴えていた。これらは勃起障害のみならず満足な性交を得られていないという心因的要素によっても予後を悪くしている可能性が示唆され、性機能障害の複雑性を物語っていた。またオフィステストでは、100%の完全勃起を示したケースが71.9%あり、そのほとんどが驚嘆の表情を示していた。性交可能なまでの70%の勃起を含めると93.0%であり、局所注射による確実な効果が得られていた。このことは患者自らが、われわれ医師の前(第三者)で勃起を示したことが自信と余裕をもたらし、明るい表情を示していたことが本法の最も重要な点と考えられた。そして、勃起状態の間に何度もオートインジェクター使用の訓練をさせ、勃起の充足感と副作用となる持続勃起の怖さについて説明を加えた。 すべての患者において、この間の説明に対し従順な気持ちで素直に聞けるということも本法の特徴といえよう。しかも自らの勃起の経験をして本注射法を拒否したのが、わずか3例5.3%であり、注射に対する抵抗感が実体験でかなり払拭されたことが印象的でもあった。 再診に訪れた患者30例総てが再処方を希望し、15例が満足度不充分として、薬液を増量し、また満足過ぎるという症例で次回に減量して処方したのが11例あり、再診時の問診などで適宜薬液量を調整し処方できること、また、患者のその間の性生活の実態を把握することは予後を追跡管理する上において重要なことと思われた。 また、オフィステスト時、自己注射時に何らかの異常や副作用を訴えたものは皆無であり、本法がコンプライアンスの高いものであることが確認された。しかしながら、本疾患は心因性に起因することも多く、初診時の問診などによる患者とのコミュニケーション作りが大切で、よく話を聴取することから始まり患者の悩みを十分に吐露させたこと。本法の確実性と安全性を納得させ、オフィステストを行ったこと。さらに、オフィステストで十分な勃起を得られているうちに、自己注射の訓練と持続勃起などの副作用の怖さについて十分に説明を行ったことが今回の良好な成績につながったものと考える。 昨年の1999年WHO主催による第1回国際勃起障害学会が開催され討議されたなかで、各国はすでに勃起障害の治療を注射法による報告が85%を占めていた16)。しかも、副作用もほとんどなく確実な効果が得られる点から、今後、わが国でも注射法による治療法が普及され討議されていくものと考える。 |
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